石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は21日、日本の排他的経済水域(EEZ)で、世界で初めて、コバルトリッチクラストの掘削試験に成功したと発表した。
クラスト片には、希少金属(レアメタル)のコバルトやニッケルが含まれており、貴重な国産資源となることが期待される。
コバルトリッチクラスを掘削した海域、日本の領海等概念図を加工
JOGMECは7月、日本の排他的経済水域である南鳥島南方(水深約930メートル)で、コバルトリッチクラストの掘削試験を行った。
改造した採掘機により、掘削技術に関するデータを取得すると共に、海底から649キログラムのクラスト片などを回収した。
採掘試験は周囲の環境に影響を与えないよう、慎重に行われたという。
情報元:世界初、コバルトリッチクラストの掘削試験に成功~海底に存在するコバルト・ニッケルの資源化を促進~ : ニュースリリース | 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構[JOGMEC]
コバルト、出典:Wikipedia
コバルトリッチクラストとは、水深約800~2,400メートルの存在する、厚さ数ミリメートル~10数センチメートル程度のマンガン酸化物。コバルト、ニッケル、銅、白金、マンガンなどの金属を含む。
今回調査した海域には、コバルトが日本の年間消費量の約88年分、ニッケルが約12年分あると期待されている。
共に貴重性が高く、電気自動車などに使うリチウムイオン電池に不可欠な材料だ。
日本は、レアメタルのほぼ100%を海外からの輸入に頼っている。石油や天然ガスなどの化石燃料も同様。
今回の成功により、国内でレアメタルが採取されるようにはならない。コスト面を始め、まだ多くの課題があるからだ。
それでも筆者は、次世代への投資と考え、掘削試験は続けるべきだと考える。
努力なくして、成功を果実を得ることはできない。