11月6日にアメリカ合衆国大統領に当選した人物は、今まで7人いる。
偶然にも、全員、共和党だ。
- 1860年:エイブラハム・リンカーン
- 1888年:ベンジャミン・ハリソン
- 1900年:ウィリアム・マッキンリー
- 1928年:ハーバート・フーヴァー
- 1956年:ドワイト・デビッド・アイゼンハワー
- 1968年:リチャード・ニクソン
- 1984年:ロナルド・レーガン
上記7人が当選したアメリカ合衆国大統領選挙のなかで最も歴史的なものが、リンカーンが当選した1860年の選挙である。
共和党は初めて大統領選挙で勝利した。民主党は北部民衆党と南部民衆党に分裂して選挙を行った。
そして、戦争のキッカケとなった選挙だ。
当時、米国の政治最大の課題は、奴隷制度を存続させるか否かだった。
1800年頃より北部の各州では、段階的に奴隷制度が廃止されていた。しかし、南部では存続していた。
リンカーン率いる共和党は、奴隷制度廃止を最重要政策としていた。
一方、民主党は意見がまとまらず、存続を主張する南部民衆党と、廃止を主張する北部民主党に分裂した。
リンカーンが大統領選挙に当選すると、サウスカロライナ州がアメリカ合衆国からの脱退した。
続けて、ミシシッピ州、フロリダ州、アラバマ州、ジョージア州、ルイジアナ州、テキサス州も脱退。
1861年2月、脱退した7州が中心となりアメリカ連合国を建国した。
そして、同年4月、アメリカ合衆国の間で戦争になった。これが「南北戦争」である。
直後、バージニア州、アーカンソー州、テネシー州、ノースカロライナ州も脱退してアメリカ連合国に加盟した。州の一部だけアメリカ連合国に加盟した地域もあった。
1865年、アメリカ連合国は降伏し、消滅した。
南北戦争の正確な死者数は定かではないが、最低でも70万人以上である。100万人を超えるという説もある。
アメリカ連合の範囲。濃い緑は加盟した州、薄い緑は州の一部が加盟、出典:Wikipedia
現在、アメリカ合衆国では大統領選挙による混乱が続いている。
「アメリカが分裂する」とか「まるで内戦みたいだ」という人もいる。
しかし、1860年の大統領選挙に比べれば、大したことではない。
アメリカ合衆国は覇権国だ。そんなに柔(やわ)な国ではない。