東芝、高輝度光科学研究センター(JASRI)、東北大学の研究グループは、ハードディスクドライブ(HDD)用書き込みヘッドの磁化の挙動を「100億分の1秒」の精度で画像化することに成功した。
世界初。
分解されたHDD、出典:Wikipedia
ハードディスクドライブ(HDD)は、パソコンやHDDレコーダー、ゲーム機などに使用されている記憶装置。
情報は磁性体を塗布した光沢のある円盤に記録されている。これを高速回転させ、磁気ヘッドを移動することで、情報を記録したり、読み出したりする。
HDDに記録される情報量(データ量)は今後、爆発的に増えると予想されている。
HDDの更なる容量増加やデータ転送速度向上を実現するためには、書き込みヘッドの動作を正確に把握し、合理的な設計をする必要がある。
しかし、書き込みヘッドは超微細な構造をもち、超高速な磁化反転が行われるため、実際にその動作を観察することはこれまで困難だった。
研究グループは、大型放射光施設SPring-8に設置された走査型X線磁気円二色性顕微鏡を用いて、新たな解析技術を開発した。
放射光とは、ほぼ光速で直進する電子が磁石などにより進行方向を変えられた際、発生する電磁波である。
走査型軟X線磁気円二色性顕微鏡は、軟X線(エネルギーが低くて透過性の弱いX線)を用いて、非常に高感度かつ微小な磁化情報を調べることができる。
画像化されたHDD用書き込みヘッドの磁化の挙動、東北大学提供
研究グループは、SPring-8から周期的に生成されるX線パルスにあわせ、その10分の1の周期で、HDD用書き込みヘッドの磁化を反転させるタイミング制御を行った。
これにより、集光したX線を書き込みヘッドの記録媒体対向面上で走査し、磁化の時間変化の画像化に成功した(上の画像)。
HDD用書き込みヘッドの磁化の挙動を「100億分の1秒」の精度で画像化できたが、更なる高性能化も可能。
今回の成果により、次世代書き込みヘッドの開発、HDDの更なる大容量化が期待できるという。
近年の技術の進歩は凄まじい。特にIT(情報技術)関連は。
あと50年もしたら、コンピュータはどうなっているのだろうか?