外国人技能実習制度。
同制度を厚生労働省は以下のように説明している。
外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
引用:厚生労働省
筆者には、そのような制度とは思えない。
出入国在留管理庁によると、令和元年末時点の外国人技能実習生は約41万人。うち、半数を超える約21万人がベトナム人。
平成31年/令和元年の1年間に失踪した実習生は8796人。うち、6105人がベトナム人。1年間でベトナム人実習生の約3%が失踪している。
法務省は平成29年、不法滞在で強制送還の手続きがとられた実習生ら2870人から聞き取り調査した結果を公表した。
失踪理由(複数回答)は、最多が「低賃金」で1929人(67.2%)、次が「実習終了後も働きたい」で510人(17.8%)、その次が「指導が厳しい」で362人(12.6%)。
実習先での月給は「10万円以下」が1627人(56.7%)、「10万円超~15万円以下」が1037人(36.1%)。22人は「最低賃金以下」だった。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、外国人技能実習生の解雇が相次いでいる。
筆者の知り合いが働いている建設会社にもベトナム人実習生が多数いたが、今はほとんどいなくなった。
以前、彼らベトナム人実習生と話をしたことがあるのだが、「日本に来る前に仲介業者に高額の手数料を払った」と言っていた。
外国人技能実習制度に対しては、外国からも非難の声がある。
米国国務省の「人身売買に関する年次報告書」は「劣悪な強制労働の温床になっている」と批判している。
連合国(国連)人権理事会も、雇用制度に変更すべきと指摘している。
外国人技能実習制度は、安い労働力をほしい企業のための制度ではないのか?
実習生を雇用の調整弁にしていないか?
そもそも、開発途上国の経済発展を担う「人づくり」に協力しているのか?
筆者は「外国人実習制度は廃止すべきだ」と考える。
このまま続ければ、将来、第二の募集工問題(徴用工問題)になるかもしれない。
未来に遺恨を残す制度だ。