連合国(国連)のグテーレス事務総長は2日、経済協力開発機構(OECD)加盟国に対し、2030年までに石炭火力発電を廃止するよう求めた。
先進7カ国(G7)には、今年6月の首脳会議(サミット)までに具体的な廃止計画を示すよう要請した。
経済協力開発機構(OECD)
国際経済全般について協議することを目的とした国際機関。
加盟国は日本や米国、ドイツ、韓国など計37ヵ国で、ほとんどが先進国。
脱石炭連合(PPCA)
石炭からクリーンエネルギーへの移行を目指す国際組織。2017年に英国とカナダの呼びかけにより発足した。
メンバーは36ヵ国、36地方自治体、50組織。
連合国のグテーレス事務総長は2日、脱石炭連合(PPCA)が実施したオンライン会合で演説した。
グテーレス氏は、産業革命前から世界の平均気温上昇「1.5度未満」に抑えることは、この10年で達成可能と強調した。
そのためには、石炭火力発電を段階的に廃止することが最も重要かつ、唯一の方法とした。
パリ協定(COP21)第2条1項
産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑える。加えて平均気温上昇「1.5度未満」を目指す。
連合国は「2030年までに温室効果ガス排出量を45%削減する」としている。
しかし、各国政府が提出した削減目標では、達成は不可能である。
グテーレス氏は、経済協力開発機構(OECD)加盟国に対し、2030年までに石炭火力発電を廃止するよう求めた。
先進7カ国(G7)には、今年6月の首脳会議(サミット)までに具体的な廃止計画を示すよう要請した。
加えて、先進国に対し、発展途上国などへの石炭火力発電所の建設援助を凍結するよう呼びかけた。一方、再生可能エネルギーに移行する発展途上国には、手厚い支援を要請。
グテーレス氏は、「石炭が安価な電力を供給し、地域社会に雇用をもたらした時代はもう終わった」と述べた。
更に、「世界の死者の5人に1人は化石燃料に関連した大気汚染によるものだ」とも述べた。
グテーレス氏は、クリーンエネルギーへの転換の過程で労働者の権利が守られることも含めて、各国政府に対策を急ぐよう呼びかけた。
情報元:Secretary-General urges countries to end ‘deadly addiction’ to coal | | UN News
経済産業省によると、日本の2017年のエネルギー依存度(一次エネルギー供給ベース)は、石油が39%、石炭が25.1%、天然ガスが23.4%。
再生可能エネルギー等(水力を除く)は7.6%しかない。
東日本大震災により原子力発電所の稼働が停止したため、石炭と天然ガスへの負担が大きく増えた。石油はほぼ同じ。
現在の技術では、石炭に依存している分を再生可能エネルギーで賄うなど、夢物語でしかない。
石炭火力発電の縮小・廃止の圧力が今後強まるのは、ほぼ確実である。
筆者は原子力発電所を稼働すべきだと思う。
理想と現実を混同してはいけない。