北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の都英次郎准教授らの研究グループは、細菌を使ってガン細胞の検出と治療を同時にできる技術を開発した。
マウスの実験では成功した。
研究グループは、以下の3つの特性を持つ紅色光合成細菌を発見した。
- 低酸素状態の腫瘍環境内で高選択的に集積・生育・増殖が可能
- 生体透過性の高い近赤外レーザー光によって様々な機能を発現する
- 非病原性
紅色光合成細菌
近赤外光を利用して光合成を行う細菌。水の分解による酸素発生は行わない。
近赤外レーザー光
レーザー装置で増幅した、700~1100 nmの近赤外領域の波長の光。生体透過性が高い。
当該細菌の特性を活用することにより、体内の腫瘍を高選択的に検出し、標的部位のみを効果的に排除することが可能だという。
マウスでは、ガン細胞の検出と治療を同時行うことに成功した。
研究グループは、革新的がん診断・治療法に成り得ると期待している。
更に、ナノ・マイクロテクノロジーや光学、微生物工学などの分野でも、応用が可能とみている。
細菌は非常に小さな生物である。
細菌はヒトにとって、必要なものもいれば、命にかかわる感染症を引き起こすものもいる。
「細菌の種類は1兆近くある」という専門家もいるが、人類はこれらのごく一部しか知らない。
研究の余地があり過ぎる分野だ。