皇位継承問題。
皇位継承資格者が近年極端に少数になったこと、およびそれに関連する問題である。
皇位継承問題は、日本の国体そのものに関わる非常に重要な問題である。
しかし、学校で教えられることはなく、マスコミも本質を指摘しないため、よくわからないというのが一般的だ。専門用語も多い。
今回の記事では、皇位継承問題をできるだけわかりやすく説明してみた。
皇室の構成、原典:宮内庁
皇位継承資格は「皇統に属する男系の男子」である。皇室典範および日本国憲法に規定されている。
現在の皇位継承順位は、1位が秋篠宮皇嗣殿下、2位が悠仁(ひさひと)親王殿下、3位が常陸宮正仁(ひたちのみや まさひと)親王殿下である。
皇位継承問題において、まず理解すべきは『男系』と『女系』の違いである。
皇位を継承した天皇(初代の神武天皇以外)は全員、家系で父親を遡ると天皇に行き着く。過去にいた 8人10代の女性天皇もそうである。
仮に愛子内親王殿下が「皇統に属する男系以外の男子」と結婚し子供が生まれたら、その子供は性別に関係なく女系である。母親の血統を辿ると天皇に行き着くからだ。
女系天皇とは、母親の血統のみに天皇がいる人間が、仮に即位した場合の呼称である。
女系天皇は最近できた言葉である。そもそも、古来より続いている皇位継承の原則に反するため、女系天皇は天皇とはいえない。
歴史を見ると、皇位継承の危機は今まで何度か起きている。
直近では1779年に、後桃園天皇が22歳の若さで崩御した時である。後桃園天皇には0歳の皇女しか子供がいなかった。
このため、70年以上前の東山天皇にまで遡り、当時9歳でだった「皇統に属する男系の男子」を光格天皇とし、後桃園天皇の皇女と結婚させた。
現在の皇位継承問題は、戦後直後から予測されていた。
1947年、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は以下の11宮家を半強制的に皇籍から離脱させた。
この旧宮家のなかには、若い「皇統に属する男系の男子」が複数名いる。
「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議」に関する有識者会議、2021年3月23日より開始
皇位継承問題の本質は、皇位継承の資格をどうするかである。選択肢は大きく分けて以下の3つ。
男系男子を続けるなら、旧宮家を皇族復帰させる必要がある。現実的には、若い「皇統に属する男系の男子」を複数名、復帰させることになるだろう。
男系の女性天皇を認めた場合、皇室の伝統には反しない。ただし、女系天皇につながる可能性がでてくると予測されている。
女系天皇を認めたら、皇室の伝統を否定することになる。女系天皇が即位した場合、皇室は別の王朝となる。事実上、皇室解体と言える。
日本書記によると、初代天皇とされる神武天皇が即位したのは 2600年以上前である。さすがにこれは逸話だと思うが、日本書記が編集されたのは720年である。
少なくとも、皇室と日本には1300年以上の歴史がある。
皇室は世界最古の現存する王朝で、日本は世界最古の現存する国である。
人の価値観というのは、時代とともに変化していく。
一度変えたら元には戻せないものに、現代の常識を適応する場合には、極めて慎重になる必要がある。
皇位継承問題は、「多くの国民が事実を知れば、答えは自ずと出る」と筆者は思う。