米国の製薬企業ファイザーは1日、ドイツのビオンテックと共同開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、新たな治験(臨床試験)結果を公表した。
2回目の接種から半年後までの有効性は91.3%だった。
南アフリカの変異株(変異種)にも高い効果があった。
経過観察では、現時点までに重大な安全上の懸念はでていないという。
ファイザー新型コロナワクチンは、3週間の間隔をあけて2回の接種が求められている。
日本での販売名は「コミナティ筋注」と言う。
ファイザーによると、治験参加者は4万6000人余。世界中の国々で実施した。
このうち、3月13日までに新型コロナウイルス感染症の症状が確認されたのは927例。
- 850例は「プラセボ」と呼ばれる偽薬を投与したグループ
- 77例はワクチンを接種したグループ
2回目の接種の7日後から半年後までの有効性は91.3%だった。米国限定では92.6%。
治験参加者のうち、1万2000人以上は2回目の接種から半年以上経過しているという。
ファイザーなどは、半年間は効果が続くとしている。
治験には、南アフリカから800人が参加していた。
このうち、新型コロナウイルス感染症の症状が確認されたのは9例。すべて「プラセボ」を投与されたグループ。9例中6例は南アフリカで確認された変異ウイルスだった。
ファイザーは、南アフリカの変異株(変異種)にも高い効果があることが示されたとしている。
経過観察では、現時点までに重大な安全上の懸念はでていない。
経過観察は今後も続けるという。
米国疾病予防管理センターによると、100万接種に11例ほどの割合で「アナフィラキシー」と呼ばれる重いアレルギー反応が出るという。
75%以上は接種後15分以内に発生し、8割ほどはアナフィラキシー経験者だという。
ファイザーは、重度のアレルギー反応がある人は接種をしないよう呼びかけている。
ファイザー新型コロナワクチンを接種する菅義偉総理、出典:官邸
ファイザー新型コロナワクチンは「mRNAワクチン」という、今までにないタイプのワクチンである。
「メッセンジャーRNA」という天然化学物質の人工複製物を体内に入れると、新型コロナウイルスの「スパイクタンパク質」という部分のみが体内で作られる。
しばらくすると、「スパイクタンパク質」に対する抗体が体内で作られる。
新型コロナウイルスは「スパイクタンパク質」を使いヒトの細胞内に侵入するのだが、それが出来なくなるという仕組みだ。
ファイザー新型コロナワクチンについては、ネットを中心に多くのデマが拡散されている。
今までにない技術だから、そういう群集心理もわからない訳ではない。
何事も『信用』が大切である。信用を積み重ねていけば、デマはいずれ消える。
ファイザーには、今後も情報公開を期待したい。