政府は13日、東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」を海洋放出する方針を決めた。
2年後をめどに実施する。
放出する「処理水」の放射性物質トリチウム濃度は、国内の規制基準の40分の1以下とする。
菅義偉総理は「風評被害により、地元の皆様方の復興への希望が失われることがあってはなりません」と述べた。
更に「科学的な根拠に基づく情報発信を含め、政府一体となって、全力を尽くしてまいります」と続けた。
情報元:令和3年4月13日 ALPS処理水の処分等についての会見 | 官邸ホームページ
福島第一原子力発電所周辺の空中写真、出典:国土地理院
平成23年(2011年)3月11日、東日本大震災が発生。
福島第一原子力発電所の原子炉1~4号機で重大事故が起きた。5・6号機は点検中のため被害は少なかった。
1~3号機では、雨水や地下水の注入により大量の「汚染水」が発生している。
汚染水は多核種除去設備(ALPS)などで浄化し、「処理水」として敷地内のタンクに保管されている。
現在、福島第一原子力発電所内には、約125万トンの処理水がある。タンク約1000基分で、東京ドーム1個分の容積量。
1日140トンのペースで増えており、令和4年(2022年)秋ころに保管量の限界(137万トン)に達すると予想される。
処理水はすでに大半の放射性物質を取り除いているが、トリチウムだけは取り除くことが難しい。
放出前に海水で薄め、世界保健機関(WHO)が示す飲料水基準の7分の1程度にする。
トリチウム水質基準 (Bq/l)
各国の飲料水
・オーストラリア 76103
・フィンランド 30000
・WHO 10000
・スイス 10000
・ロシア 7700
・アメリカ合衆国 740
・欧州連合(EU) 100放出する処理水 1500以下
平成23年(2011年)10月には、当時の民主党政権の園田康博内閣府大臣政務官が、記者会見の席上で「処理水」を飲んでいる。
情報元:asahi.com(朝日新聞社):園田政務官、原発の浄化水飲む 「飲んだら」と言われ
トリチウムの海洋放出は、フランスや英国、カナダ、韓国などの国でも行っている。
水質検査により、濃度検知をほぼ確実にできるからだ。
今回の決定を批判するのは簡単だ。誰にでもできる。
批判する人は「皆が納得する代替案」を示すべきだ。
筆者は、この方法より良い案はないと思う。