米国のソーク研究所や支那の昆明理工大学などの研究グループは、ヒトの細胞をサルの受精卵に加えた「キメラ胚」の作製に成功した。世界初。
キメラ胚は最長のもので、受精後19日目まで生き残った。
キメラ:親が3つ以上(両親以外にもう1つ以上)あり、2つ以上の遺伝的に異なった細胞から成る生物個体
胚(はい):多細胞生物の発生初期の段階
作製されたキメラ胚(受精後9日目)、赤い部分がヒトの細胞、ソーク研究所提供
研究グループは、化学物質を加えて改良したヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を、受精後6日目のカニクイザルの受精卵に注入。
翌日までに、ヒトとカニクイザルの細胞から成る「キメラ胚」132個を作製した。
キメラ胚を実験容器内で培養した結果、同15日目までに約半数が死滅。同19日目まで3個が生き残った。
キメラ胚のなかで、ヒトの細胞は成長し臓器などの元となる細胞に変化していた。
研究グループは、キメラ胚をカニクイザルの子宮に移植することはしなかった。
ソーク研究所は2017年、ヒトのiPS細胞をブタの受精卵に注入し、それを雌ブタの体内に移植。ヒトの細胞をもつブタが生まれた。
しかし、ヒトの細胞の割合は低く、ヒトに移植可能な臓器を作製するのは難しいという結果だった。
この時のデータも基に、今回はヒトに最も近い動物のサルで実験を行った。
研究グループは、「ブタ体内でヒト移植用臓器を作製する技術」の向上が目的としている。
情報元:Chimeric contribution of human extended pluripotent stem cells to monkey embryos ex vivo | Cell
今回の研究は倫理面に問題があるとし、多くの研究者などが批判をしている。
一方、サルでの研究を続ければ、ヒト移植用臓器を作製する技術が実用化レベルまで到達する可能性がある。
どちらが良いのだろうか?
ただ、確実に言えることは、人間は地球上で最も自分勝手な生物である。