2021年4月23日、福井県議会は運転開始から40年を超えた原子力発電所について、全国で初めて再稼働を事実上容認した。
日本では原発の運転期間は原則40年とされているが、審査に通ると最長60年まで延長が可能である。
福井県内にある美浜原発3号機と高浜原発1・2号機の原子炉3基は、運転開始から40年を超えているが審査に通過することができた。
福井県が再稼働に同意するか否か、注目されていた。
日本の発電電力量の推移、原典:令和元年度エネルギーに関する年次報告
東日本大震災前、2010年度の電源構成は以下のとおりだった。
2011年3月、福島第一原子力発電所の事故が発生した。
以降、国内の原子力発電所は順次停止し、2014年度には原子力の割合は0%となった。
原子力が無くなった分を賄うため、電力会社は非常に苦労した。
老朽化により休止していた火力発電所を再稼働させたり、最新の設備に置き換えて発電効率を高めるなどして電力を賄った。
結果、火力発電の割合は、2010年度の65.4%から、2014年度には87.4%にまで増えてしまった。第一次石油危機が起きた、1973年度の76%よりも高い数値である。
2018年度の電源構成は以下のとおり。
2010年度と比較すると、原子力が減った分、LNG火力・石炭火力・新エネ等が増えた。
「原発」と聞くだけで拒否反応を示す人は多いが、日本には原発を再稼働するしか現実的な選択肢がない。
2021年3月、連合国(国連)は「2030年までの石炭火力発電の段階的廃止」を各国に求めた。
石炭火力発電所の新設は既に不可能である。近い将来、石炭火力は大幅に少なくなる。
日本の石炭火力の割合は3割を超えている。これを賄う発電法が原発しかないのだ。
石油火力は発電コストが高い。石炭火力の3倍ほどで、太陽光発電より高い。
LNG火力は燃料の長期備蓄が難しく、日本における備蓄量は2週間ほど。頼り過ぎるのは、安全保障上リスクが高い。
太陽光発電のコストは、ここ数年で下がってきた。しかし、太陽光発電で原子炉1基(100万kW)の電力をつくるためには、約58km2の敷地に太陽光パネルを敷き詰める必要がある。これは山手線の内側と同等の面積。
風力発電も非現実的である。風車は1基あたり 750~3400kwほど。巨大な風車を数100機回して原子炉1基と同等になる。
決定的なのは再エネ等は、単独では安定的な電力供給ができないという点である。電気は貯めておくことができないため、火力発電によるバックアップが必須となる。
いわゆる「再生可能エネルギー」により、日本の電力を全て賄うことができればいい。
しかし、現在の科学技術では夢物語でしかないのだ。