近畿大学水産研究所新宮実験場の研究グループは、大豆イソフラボンを用いて「ナマズの全メス化」に成功した。
日本では初めて。
大豆イソフラボンとは、大豆(特に大豆胚芽)に含まれる、女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似た成分。
「植物性エストロゲン」とも呼ばれる。
食品100g中の含有量は、大豆140.4mg、納豆73.5mg、味噌49.7mg、豆腐20.3mg、醤油0.9mgほど。
サプリメントとしても市販されている。
特徴は、大きな平べったい頭部と幅広い口、長い口ヒゲ。肉食魚で、共食いをする。
全長は通称40~60cm程度だが、稀に1mを超える個体もいる。
研究グループは、ふ化直後のナマズの稚魚を150匹ずつを5つの実験区に分けた。
15日目までは、3つの実験区は大豆イソフラボンの成分の1つ「ゲニステイン」を溶解した飼育水。1つの実験区は通常の飼育水。1つの実験区は女性ホルモンの入った飼育水。
16~150日目までは全実験区で通常の飼育水で飼育し、生き残った全てのナマズを解剖して生殖腺を調べた。
- 通常の飼育水:メス68%
- ゲニステイン100μg/L:メス96%
- ゲニステイン400μg/L:メス100%
- ゲニステイン800μg/L:メス100%
- 女性ホルモン200μg/L:メス100%
結果、メスの割合は、ゲニステイン400μg/L以上と女性ホルモンの実験区で100%だった。
通常の飼育水では68%。
大豆イソフラボンは、生物の体内で女性ホルモンと同様の作用をする。
研究グループは今後、この手法を使い、チョウザメのメス化に挑むという。
今回の手法は、メスの価値が高い他の養殖魚へも応用できるとみられる。
実用化できれば、人間にとっては良いことではあるが...