令和3年(2021年)5月14日、中部電力唯一の原子力発電所「浜岡原子力発電所」が運転を停止してから10年が経った。
平成23年(2011年)3月11日、死者(関連死含む)・行方不明者2万人を超える「東日本大震災」が発生した。
福島第一原子力発電所には6基の原子炉があった。1~4号機は重大な事故を起こし、1~3号機では炉心溶融(メルトダウン)が発生した。5~6号機の損傷は軽微だった。
同年5月6日、菅直人総理は海江田万里経産大臣を通じて、全原子炉の運転停止を要請した。
これにより、国内の原子炉は全て運転を停止した。
東日本大震災の発生前、日本には54基の原子炉があった。このうち、現在稼働しているのは2割にも満たない。
浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)、出典:Wikipedia
令和3年(2021年)4月15日現在、中部電力の技術系社員は574人。このうち、浜岡原発停止以降に入社したのは211人(36.7%)である。
発電を担う当直運転員では、現場責任者に当たる発電指令課長や副長を除き、原発の運転未経験者は約55%である。
中部電力以外の電力会社がどういう状況か、筆者は調べていない。しかし、日本の「原発」運用技術が低下しているのは確実である。
未経験者だけでは、原発を安全に運転することはできない。
今の状況があと10年続いたら、日本で原発は"ほぼ"使えなくなってしまう。
田湾原子力発電所(江蘇省連雲港市)、空地には原子炉が建設される、出典:Wikipedia
原発に関して、日本とは対照的な政策をとっているのが支那である。
現在、支那にある原発は48基(49基の可能性あり)。対して、日本は33基で、点検中を含めて稼働中は9基。
支那はあと10年もすれば、米国を抜き世界一の原発大国になる。
支那のGDP(国内総生産)が日本を抜いたのが、東日本大震災の前年、平成22年(2010年)頃と言われている。
現在、支那のGDPは日本の3倍弱である。そして、この差は更に開いていく。
その時、私たち日本人はどうするのか。「支那のGDPなど噓だ!」と言い、虚勢を張るのか。それは余りにも惨め過ぎる。
福島原発の処理水を「汚染水」と言い、自らの首を絞めている場合ではない。
火力発電所は今後、確実に減っていく。既に、新設はできなくなった。
日本には原発再稼働しか、現実的な選択肢がないのだ。