素人が新聞記事書いてみた

新聞記事のつもりでブログを書いています。

石油を作るプランクトン、JAMSTECが発見、世界初

海洋研究開発機構JAMSTEC)、豊橋技術科学大学生理学研究所のグループは、石油と同等の炭化水素を合成する能力をもつ植物プランクトンを発見した。

これまで、いずれの生物からもこの能力をもつものは報告されていない。

 

プランクトンとは、水中や水面を漂って生活する漂泳生物(ペラゴス)のうち、水流に逆えるに足る遊泳能力を持たない生物の総称である。

非常に多くの種が存在し、微小なものが多い。

プランクトンを分類する基準はいくつかあるが、光合成能力の有無により「植物プランクトン」と「動物プランクトン」に分けるのが最も有名。

 

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Dicrateria rotunda 北極海株ARC1、海洋研究開発機構提供

 

海洋研究開発機構の海洋地球研究船「みらい」は平成25年(2013年)、北極海で研究航海をした際、多種の植物プランクトンを採取した。

このうち、チュクチ海の海水から採取した植物プランクトン「Dicrateria rotunda 北極海株ARC1」を単離培養したところ、石油と同等の炭化水素を合成したという。

炭化水素組成を調べたら、ガソリン(炭素数10~15)、ディーゼル油(炭素数16~20)、燃料油(炭素数21以上)に相当する、炭素数10~38の一連の飽和炭化水素が含まれていた。

つまり、ガソリンや軽油と同じ成分のものを体内で作っていた。

 

「Dicrateria rotunda(D. rotunda)北極海株ARC1」が属するDicrateria属は、北極海だけでなく、世界中に広く分布している。

研究グループは、日本とフランスの研究機関が保有する計10種のDicrateria属の炭化水素組成も調べた。

結果、10種全てで、北極海株ARC1と同じ炭素数10〜38までの炭化水素を合成する能力があることが判明した。

石油と同等の炭化水素を合成する能力は、Dicrateria属に共通した能力だという。

 

炭化水素を作る植物や藻類は、これまでにも発見されている。

しかし、炭素数の範囲が狭く(炭素数15~17など)不安定な不飽和炭素結合のため、石油に置き換えることは難しい。

 

Dicrateria属が作る炭化水素は、バイオ燃料の「質」としては申し分ないが、合成する「量」が少な過ぎるという。

研究グループは今後、合成条件の最適化や遺伝子改変を通して、炭化水素量の効率的な増加を目指す。

 

情報元:A novel characteristic of a phytoplankton as a potential source of straight-chain alkanes | Scientific Reports

 

夢のある話であるが...実用化は厳しいだろう。

ただ、研究を進めることにより、新たな情報を得ることはできるだろう。それで十分である。