素人が新聞記事書いてみた

新聞記事のつもりでブログを書いています。

『民間防衛』を読んで

『民間防衛』という本がある。スイス政府が発行し、同国民に配った本である。

日本人のなかには、平和ボケしている人もいる。そういう人達には何を言っても無駄な場合が多いが、学生なら理解してくれる人も多いだろう。

だから、筆者が読書感想文を書いてみた。長さは2000字弱で、原稿用紙5枚ほど。この記事(読書感想文)は著作権を放棄している。書き写すなり、引用するなり、ご自由にどうぞ。

読書感想文は以下に書いてある。

 

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  『民間防衛』を読んで

素人が新聞記事書いてみた 

 この本は、スイス連邦内閣の要請によって連邦法務警察省が発行したもの。つまり、スイス政府が発行したものである。そして、スイス政府はこの本をスイス国民に配った。

 スイスは正式名称を「スイス連邦」と言い、中央ヨーロッパに位置する連邦共和制国家。面積は4万平方キロメートル強で、九州と同じくらい。人口は約860万人。首都はベルン。スイス語というものはなく、ドイツ語を話す人が国民の6割強、フランス語が2割強、イタリア語が1割弱。スイスは1815年のウィーン会議で、永世中立国となった。以降、スイスは戦争をしていない。第一次世界大戦にも、第二次世界大戦にも参戦しなかった。

 この本は「まえがき」で、スイスの最も大きな財産は「自由と独立」と主張している。そして、これらを守るためには、民間の力と軍事力を一つに合わせる必要があり、これは即席にできるものではないとしている。また、常に最悪の事態に備え、準備することを怠ってはいけないとも言っている。

 私はこの本を読む前まで、スイスは平和な国だと思っていた。しかし、実際には非常に国防意識の強い国で、衝撃を受けた。日本とは対照的である。

 この本は300ページを超える厚さだ。多くのことが書かれてあったが、共感できる部分は多かった。その中から、特に印象に残った3つの部分を、私の感想と共にこれから紹介したい。

 一つ目は25ページから。「平和と自由は、一度それが確保されたからといって、永遠に続くものではない」とし、「そのために力を尽くすことが、わが国当局と国民の義務である」と続く。

 日本人でこのような事を考えている人は少数派だ。平和や自由はタダで、あるのが当たり前と思っている人が多い。この辺の意識が、日本人とスイス人の安全保障に対する意識の決定的な違いといえる。

 二つ目は98へージからの化学兵器について。化学兵器国際法上使用が禁止されているが、攻撃された場合の備えはしておくべきだと主張している。まずは、化学兵器について知る。そして、使用された時の予防措置を覚えておく必要があるとしている。

 この本は1969年に出版されたものである。当時、化学兵器による民間人への攻撃は現実味がなかった。この20数年後、世界初の化学兵器による無差別テロが発生する。そして、そのテロが発生した国は日本だ。

 「オウム真理教」という新興宗教団体が、神経ガスサリンを使用し、無差別テロを決行した。1994年に「松本サリン事件」、翌年に「地下鉄サリン事件」を起こした。地下鉄サリン事件は、14人が死亡し、約6300人が負傷する大惨事となった。もし、化学兵器の予防措置を知っている日本人が多かったら、被害はこんなに拡大しなかったかもしれない。

 三つ目は226ページ。「戦争のもう一つの様相」という言葉を使い、これはカモフラージュされて、さまざまな姿で、こっそりと国の中に忍び込んでくる。そして、われわれのあらゆる制度、あらゆる生活様式をひっくり返そうとするとある。また、このやり方は多くの場合、暴力を用いないで目的を達するとも述べている。つまり、間接侵略の危険性を訴えている訳だ。

 日本には多くの平和団体が存在している。彼らの多くは平和を願っていると思うが、なかには怪しいメンバーもいる。

 例えば、広島に原爆が投下された8月6日には、毎年、いくつかの平和団体が広島でデモ行進をする。平和記念式典の最中に大声を張り上げている団体。広島に原爆が投下された時間に、黙とうをしないメンバーも多い。ネットにあった動画を見る限り、彼らが平和を願っているとは到底思えない。

 人権団体にも、怪しいメンバーがいる。彼らは、人権尊重とか差別反対を主張しているが、香港での言論統制ウイグルでの人権弾圧を批判することはない。

 平和や人権を必要以上に主張する団体には、怪しいメンバーが多いように思える。彼らの特徴は、類似した状況でも相手により対応が異なる、いわゆる「ダブル・スタンダード」という点である。

 この本『民間防衛』の主旨を一言でいうと、「平和を維持するためには準備が必要」である。本当にその通りだと思う。そして、スイスが長年、戦争をしていない理由が少しわかった気がする。

 警戒が厳しい家に入る泥棒は少ない。警戒が厳しい国を侵略(間接侵略を含む)する国も少ない。この本は、当たり前の事を言っているだけとも言える。

 日本人は平和ボケしているという想いが、私の心に残った。