NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は25日、「移民政策に関する政党アンケート2021」の結果を全て公表した。一部は既に公表済だった。
調査対象は自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、社会民主党、日本共産党、日本維新の会、れいわ新選組、沖縄社会大衆党の9党。
「NHKと裁判してる党 弁護士法72条違反で」は政党だが対象外。一方、沖縄社会大衆党は政党ではないが対象となった。
9月7日から30日にかけて実施された。
結果を見た移住連は、自民の移民政策は消極的、公明・維新・国民民主は曖昧な姿勢、立憲民主・共産・れいわ・社民は積極的と評価した。
質問数は12。「賛成」「どちらとも言えもない」「反対」を選択する方式。「賛成」は移民の権利拡大になる。
質問と各党の選択した回答は以下のとおり。
質問1. 入管施設への収容は必要最低限にし、全件収容主義は廃止すべきである。
自民、公明、国民は「どちらとも言えない」。それ以外の6党は「賛成」。
質問2. 非正規滞在者などへの在留特別許可については、子どもの最善の利益や家族の結合権など国際人権基準に基づいて判断すべきである。
自民、公明、国民、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の5党は「賛成」。
質問3. 在留カードの常時携帯義務と提示義務、特別永住者証明書の提示義務を廃止すべきである。
自民のみ「反対」。公明、立憲、国民、維新、れいわは「どちらとも言えない」。社民、共産、沖縄は「賛成」。
質問4. 生活保護が適用される外国人の範囲を拡大すべきである。
自民のみ「反対」。公明、立憲、国民、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の4党は「賛成」。
質問5.在留資格や住民登録の有無にかかわらず、健康保険の加入を認めるべきである。
自民、公明は「反対」。立憲、国民、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の4党は「賛成」。
質問6.外国人技能実習制度は廃止すべきである。
自民、公明、国民、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の5党は「賛成」。
質問7.入管法から独立した難民保護法を制定すべきである。
自民、公明は「反対」。国民、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の5党は「賛成」。
自民、維新は「反対」。立憲、国民は「どちらとも言えない」。それ以外の5党は「賛成」。
質問9. 人種差別を禁止する法律を制定すべきである
自民、公明、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の6党は「賛成」。
質問10. 移民基本法を制定すべきである。
自民、公明、立憲、国民、維新、れいわは「どちらとも言えない」。社民、共産、沖縄は「賛成」。
質問11. 移住労働者権利条約を批准すべきである。
自民、公明、国民、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の5党は「賛成」。
質問12. パリ原則に基づく国内人権機関を設置すべきである。
自民、公明、維新は「どちらとも言えない」。それ以外の6党は「賛成」。
「賛成」を2点、「どちらとも言えもない」を1点、「反対」を0点とした場合、各政党の12の質問の合計点数は以下のとおり。満点は24点。
質問1の全件収容主義は、前国会でも議論になっていた。
全件収容主義とは、不法就労や犯罪など在留資格のない外国人を、原則全て収容するという日本政府の政策。
令和3年3月、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が、名古屋出入国在留管理局の施設で病死した。
これを機に、複数の人権団体から廃止の声があがっている。
未来のことはわからないが、筆者は近いうちに、何らかの動きがあるとみている。