素人が新聞記事書いてみた

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イモリが体を再生する仕組み、筑波大などが解明

筑波大学慶應義塾大学信州大学日本歯科大学宇都宮大学の共同研究グループは、イモリが体の様々な部位を再生する仕組みを解明した。

ヒトを対象とした再生治療に、応用できるかもしれないという。

 

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アカハライモリ、出典:Wikimedia Commons

 

日本で単に「イモリ」と言えば、一般的には「アカハライモリ」のことを指す。

 

アカハライモリは、両生綱有尾目イモリ科イモリ属に分類する種。

全長は10cm前後。皮膚がザラザラしている。

背中側は黒から茶褐色だが、腹側に赤い部分がある。

 

アカハライモリは、非常に高い再生能力をもっている。

尾を切ったとしても、骨まで完全に再生する。尾を自切するトカゲですら、尾骨までは再生できない。

四肢を肩の関節より先で切断しても、指先まで完全に再生する。更に、目のレンズも再生することができる。

 

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アカハライモリの腹側、出典:Wikipedia

 

研究グループは、アカハライモリ体の様々な部位で、表皮と真皮を含む皮膚全層を切除し、その回復について詳しく調べた。

 

アカハライモリは、皮膚の切断端に局在する表皮幹細胞の分裂頻度をほとんど高めることなく、同時に、炎症反応も低く抑えていた。

一方、切断端の周囲の皮膚では、表皮幹細胞の分裂頻度を約2倍に高めていた。

傷の周囲の表皮で、新たな細胞が付加することにより、増加分が傷口に押し出されていき、傷口を素早く閉じていた。

アカハライモリはこの仕組みにより、瘢痕のない皮膚を再生していた。時間はかかるが、肌理や皮膚付属器、色合いも回復できた。ただし、腹側の皮膚では、赤と黒の模様が傷つく前とは別の模様になってしまい、完璧には再生できなかった。

 

ヒトでは皮膚全層が切除されれると、出血し、傷口は瘡蓋(かさぶた)で覆われる。瘡蓋の下では炎症が起き、皮膚再生が始まる。

損傷を受けた部位は、コラーゲン繊維や毛細血管などで覆われ、赤くて柔らかい「肉芽組織」ができる。

治癒が完了した後、肉芽組織は傷跡となって残る。

 

簡単に言うと、皮膚が切除・損傷した際、アカハライモリは傷周囲の皮膚の増殖により治す。

一方、ヒトは切除・損傷部分に新たな細胞をつくる。この細胞は損傷前の細胞とは別物のため、傷跡となる(傷跡に見える)。

 

共同研究グループは、イモリが体を再生する仕組みに関して、ヒトの治療においても何らかのかたちで応用できるとみている。

 

情報元:Skin Wound Healing of the Adult Newt, Cynops pyrrhogaster: A Unique Re-Epithelialization and Scarless Model | Biomedicines

 

生物種総数は推定300万~1億種。推定した研究機関により大きな幅がある。

ヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)は、このたった1種でしかない。

様々な生物の仕組みを解明することにより、医療を始めとする様々な科学技術の進歩につながる...と筆者は確信している。