ロシアのプーチン大統領は7日、軍事的な緊張が続くウクライナ情勢に関して、フランスのマクロン大統領とモスクワで会談した。
プーチン氏は、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、軍事的手段でクリミアを取り戻すことを決定した場合、ロシアとヨーロッパ諸国の戦争になるとけん制した。
また、ロシアは核保有国の一つであり、戦争に勝者はいないとの見解も示した。
一方、緊張緩和に向けたマクロン氏の提案については評価した。提案の詳細は明らかにされなかった。
会見後に記者会見するフランスのマクロン大統領(左)とロシアのプーチン大統領(右)
プーチン氏は会談後の記者会見で、ウクライナを侵略するつもりかの質問に以下のように答えた。
ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟し、軍事的手段でクリミアを取り戻すことを決定した場合、ヨーロッパ諸国は自動的にロシアとの軍事紛争に巻き込まれることをご存知ですか?
(中略)
ロシアは世界をリードする核保有国の1つであり、現代の核力構成要素の数の点でこれらの国の多くよりも優れていることも理解しています。しかし、勝者はいないでしょう。引用:News conference following Russian-French talks • President of Russia
ロシアがウクライナに拘っている理由は、主に2つ。
まず、ロシアにとって北大西洋条約機構(NATO)は天敵。ウクライナが加盟した場合、NATO勢力の国と国境を接することになる。しかも、黒海においてロシアの動きが制限されることになる。
次に、ロシア人はウクライナを自分たちの一部だと思っている。
ウクライナ国内が一枚岩ではないことも、問題を複雑化させている。
ロシアによる実行支配が行われているクリミアや、ロシアと接するウクライナ東部のドンバスでは、ロシア語話者が大半で、ロシアに親近性を感じている人が多い。
一方、首都キエフやポーランドに近い西部地域では、ロシアには反感を持っている人が多い。
現在、ロシア・ウクライナ国境付近には、10万人を超える規模のロシア軍が集結している。
ヨーロッパ諸国にとっては、冷戦以降で最大の安全保障上の危機である。
この問題の結末はどうなるのだろうか?
確実に言えることは、「こちらが攻撃しなければ、戦争にはならない」などという甘い考えは、一切通用しないということだ。