東京農工大学の村上義彦教授の研究グループは、「粒子の形態を正確に制御する技術」の開発に成功した。
同研究グループが以前に発見した、自己乳化現象を巧みに利用した。
自己乳化:水と油(や有機溶媒)を混ぜるだけで自然に乳化する現象のこと
様々な形態となった粒子の顕微鏡画像、東京農工大学提供
研究グループは、蒸気圧(揮発しやすさの指標)が異なる複数の有機溶媒を混合して用いた。
トルエン(蒸気圧:3.5kPa)とジクロロメタン(蒸気圧:56.0kPa)を混合して用いると、ジクロロメタンの方が速く蒸発するため、混合有機溶媒中のトルエン比率が増加する。
同溶媒中では、最終的に得られる粒子内部に空孔形成が促進される。
この過程で温度などの条件が異なると、粒子形成に影響を及ぼすという。
研究グループはこれを正確に制御し、以下の三つの形態の粒子を自在に作製することに成功した。
- 内部に空孔がない粒子(上図・左)
- 内部の一部に空孔がある粒子(上図・中央)
- 内部の全体に空孔がある粒子(上図・右)
研究グループによると、同技術はバイオ・医療材料、電子材料、光学・分子デバイスなど幅広い分野への応用が考えられるという。
従来は調製が困難であった経肺投与DDS(ドラッグデリバリーシステム、薬物送達システム)開発も期待できるという。
このような研究は一見地味ではあるが、応用できる分野が広い。
政権批判をし莫大な研究費をもらう怪しい教授より、政府にはこういう研究者たちを大切にしてほしいものだ。