熊本大学とジャパンシーフーズの共同研究グループは、瞬間的に大電流を流すことにより刺身の品質を保ったままアニサキスを殺虫する新たな方法を開発した。
冷凍・加熱以外でアニサキス殺虫を可能とする世界初の技術。特許出願済。
販売されている鮭に付着していた生きているアニサキス、出典:Wikipedia
アニサキスとは、回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称。全ての種が魚介類に寄生する。
生きたアニサキスがヒトの胃に入ると、食中毒を引き起こす。その後、アニサキスは数日で死ぬか排泄される。
ここ数年、アニサキス食中毒は年間300~400件発生しており、全食中毒の3割ほど。
現在、加熱せずにアニサキスを殺虫する方法は冷凍しかない。
マイナス20℃で24時間以上冷凍するとアニサキスは死滅するが、魚身の品質は劣化する。また、販売する際には「解凍」表示が必要となり、商品価値は著しく下がる。
パルス処理のイメージ(左)、パルス処理で死亡したアニサキス(右)、熊本大学提供
研究グループは、パルスパワー技術をアニサキス殺虫に応用できると考えた。
パルスパワーとは、200V(または100V)の電源から電気エネルギーを一旦コンデンサへ蓄積し、これらをマイクロ~ナノ秒レベルで取り出すことで得られる瞬間的超巨大電力のこと。
殺虫試験では、1,000匹のアニサキスを全て死亡させることができたという。また、解凍品に比べて、品質の劣化も少なかった。
研究グループは、ジャパン・シーフーズ工場にアニサキス殺虫装置の試作機を設置済。今秋から同装置で処理した刺身のサンプル出荷を予定している。
一度に、3kgのアジフィーレ(3枚おろしにした片身)を約6分で処理できるという。
研究グループは、アニサキス食中毒のリスクを大幅に低減できると考えている。
ただ、コスト面には改善の余地があるという。今後は、低コスト・省エネルギーで殺虫処理できる条件を検証し、大量処理可能な装置開発を目指す。
情報元:パルスパワーを用いた新しいアニサキス殺虫方法を開発 ―アニサキス食中毒リスクのない刺身― | 熊本大学
この技術には怪しい部分もあるが、実用化できれば、アニサキス食中毒のリスクを大幅に低減できるだろう。
流石に、「軍事研究だ!」などと言い、横槍を入れてくる輩はいないと思うが...