弘前大学と理化学研究所の共同研究グループは、リンゴに含まれる成分「プロシアニジン」をリンゴを破壊ぜず、かつ簡単に測定する新技術を開発した。
微弱なレーザー光を照射して約15秒程度で、リンゴ内のプロシアニジン含有量を推定できるという。
従来法では測定したリンゴは破棄され、かつ、測定時間も数時間かかっていた。
レーザーを照射してリンゴ内の「プロシアニジン」を測定する様子 、弘前大学提供
リンゴには 「ポリフェノール」という物質が含まれている。同物質は、カラダの免疫機能低下を引き起こす活性酸素の働きを抑制したり、取り除いたりする。
リンゴポリフェノールの6割強を占める主成分が「プロシアニジン」である。
プロシアニンジン含量の測定は一般的に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)という手法が用いられてきた。
測定にはリンゴを細切りにし凍結乾燥や粉末化など行うため、分析に使用したリンゴは廃棄されることとなる。
また、1サンプルあたり数時間という時間が必要だった。
このため、リンゴを破壊ぜず、かつスピーディーにリンゴ内のプロシアニンジン量を測定できる技術が求められてきた。
研究グループは、ラマン分光法というレーザー計測およびデータサイエンス着目。
両技術を用いることで、リンゴ内に含まれるプロシアニンジン量を非破壊計測する新技術を開発した。
具体的には、弘前市と「JAつがる弘前協力」の協力もと、農園で収穫した多数のリンゴサンプルを、ラマン分光計測およびHPLCで計測。この大量の計測データを統計分析することにより、プロシアニジン量を予想することができるモデルを作製した。
その結果、レーザーポインター程度の微弱なレーザー光を15秒間リンゴにあてるだけで、リンゴ内に含まれるプロシアニジン量を簡便かつスピーディーに非破壊で推定することに成功した。
研究グループは、同技術が品質の高いリンゴの生産や出荷に役立つと期待。
リンゴ以外の食品・果物に含まれる機能性成分測定なども、同技術により計測可能とみている。
リンゴを破壊せずに、成分を測定することができるのは画期的である。他の食品にも応用できるといいが。
おいしいリンゴを、いや、おいしい食べ物を消費者に提供するためは、こういう技術の積み重ねが必要である。